コミュニケーションの根本を大事に
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- カテゴリー: 木村 欣司(言語聴覚学科教員)
昨今,約2人に1人がコミュニケーションツールとしてSNSを利用しています.(総務省)私もその一人であり,同僚,友人,家族と,SNSを利用してコミュニケーションを取ることがほぼ毎日のこととなっています.そのSNSの根源となったものは,携帯電話の普及から,メール機能を利用するところから始まり,コミュニケーションの基本となる直接対話を意識する人は,時代とともに少なっているように感じます.
そのような時代で,問題となりつつあることは,日本人のコミュニケーション能力の低下です.患者様と関わる,言語聴覚士または医療従事者へも少なからず影響を及ぼしています.
SNSやメール等は,非常に手軽で,簡易に人と結ばれることができ,とても便利なものですが,利用の仕方を誤ると,直接的なコミュニケーションの欠如に繋がることになります.
そもそも,歴史を辿るとメールやSNSは電報に相当します.電報は,特に「急な要件」をいち早く伝えるための手段であり,具体的な内容は対面してから会話することが,前提になっていました.つまり「取り急ぎ」の意味を持っていました.
しかしながら,現在は,取り急ぎと言いながらも,要件をすべて記し,具体的な対話(コミュニケーション)を欠くことが非常に多く見受けられます.
また,メールやSNSは一方的なものであり,発信者が文章を送れば,「メール送りました」と責任は受信者に移る,恐ろしいことに,相手の状況を考えるというコミュニケーションの根本すら脅かすことが起きています.
コミュニケーションの根本ができていないと,「一方的」「自己満足」「独りよがり」の発想しかできなくなり,私たちが働く医療現場で重要視される「患者様中心の支援」とはほど遠いものになってしまいます.
それで,良いのか.良い訳はありません.
特にコミュニケーション障害を扱う言語聴覚士では,なおのことあってはならないことだと思います.
「コミュニケーションの基本は対話であり,
SNSやメールは,補助的なコミュニケーションツール」
対話によるコミュニケーションとSNSやメールの双方を上手く使い分けできている人こそ,コミュニケーションが上手な人です.コミュニケーションの根本を間違えないよう,当学に通われている学生さんへは,しっかりと伝えていきたいと思います.