コロナに負けない! タマリハの強みを活かした学内演習!

山﨑 暁(言語聴覚学科教員)

ひとたび終息したようにみえた新型コロナウィルスですが、7月に入り再び感染者が増え始め、安心できない状態になっていますね。

さて、言語聴覚学科2年生は、例年であれば7月から病院での臨床実習、平たく言えば病院での実務研修が始まります。しかし、今年はコロナ渦によって、病院に安心して学生を送り出すことができないこと、また、学生を受け入れてくださる病院の状態からも受入が難しいことから、コロナ渦が終息するめどが立つまで多摩リハビリテーション学院専門学校(以下、タマリハ)では、臨床実習を行わないことになりました。

 そして、臨床実習に変わるものとして、学内で1年生の時に病院で経験した患者さんの症状を分析し、訓練法を考える演習を行うことにしました。しかし、そんな状況でも学生のことを第一に考えるタマリハは、学内演習のとっておきを用意しました!

それは…、実際にその患者を担当していた言語聴覚士の先生をお招きすることです!

病院で実際に同じ患者さんをご担当した先生だからこそわかる、患者さんとのリアルな関わりや臨床での考え方を、学生に追体験してもらうことが、今回の演習の大きな目的です。

そのため、事前資料として実際の患者さんの検査結果や普段のようすをまとめた資料(これは1年生のときに担当した学生がまとめました。担当した学生さん、ありがとうございます!)を学生全員に配り、その資料をもとに学生が患者さんの症状を分析し、訓練内容を考え、発表します。

そして、その発表をお招きした先生に見てもらい、現場で働いている言語聴覚士の観点からご助言をいただきます。

したがって学生は、「患者さんのためになる訓練とは何か」をより深く考え、学ぶことができます。

なお、この演習を行うにあたり、患者さんに行う訓練のやり方は、教員がモデル患者と言語聴覚士役に扮した訓練場面の動画を撮影し、学生がいつでも動画を見て学ぶことができるように環境を整えてあります。また、登校することが不安な学生に対しては、相互通信で意見交換できるインターネット環境を整えてあります。

新型コロナ感染対策としては、マスク、ソーシャルディスタンス、演習前後の手洗いとアルコール消毒を徹底しています。さらにグループワークの際は、学生の間にはアクリルの防護壁を設けたうえで、意見交換は対面しないように行います。

ではでは、3密を避けるため色々な場所でグループワークしている学生のようすを見に行ってみましょう♪

んで、学生の許可が下りたら演習風景の写真を撮影しつつ、学生の会話にも聞き耳を立ててみます^^

演習風景① 

突撃~!

私:写真撮ってもいい?

学生:良いですよ~

学生A:この患者さんの言葉の出にくさに対し、呼称(絵を見て名前をいう)訓練を行うことにしたけど、どうやって訓練仮説を伝えればみんなにわかってもらえるかな?

学生B:う~ん。西片先生が教えてくれたロゴジェンモデルを使えば良いと思うよ。

学生A:それは良い案だね。ロゴジェンモデルを使って、この訓練(デブロッキング法)の訓練仮説を説明しよう!

<学生が作成した発表用資料> とても良くできていますね(^^) 

右の図がロゴジェンモデル。この図に黄色や青、赤の矢印を学生が書き加えて、自分たちが考えた訓練仮説を説明しようとしています。

*詳しくは入学し、学びに来てください!

*ちなみに西片先生はタマリハきっての失語症のスペシャリスト!

学生からは生き字引先生と呼ばれています^^

演習風景②

突撃~!

私:写真撮っても良い?

学生:山﨑先生、ちょうど良かった!教えてください!写真はどうぞ~♪

学生C:私たちはこの患者さんに文章を作る訓練をやろうと思っています。でも、どこにターゲットを絞ったらいいか、イマイチ分からなくて悩んでいるんですよ~。

私: どれどれ? あ、この患者さんは単語の理解ができているわけだから、状況図を見せて、それに対応する名詞と動詞の文字カードと、ダミーの文字カードを用意して…。

学生C:なるほど!患者さんには、正しい名詞や動詞の文字カードを選ぶことと、正しく並べることに意識を向けてもらうんですね!

私:さすが!察しが良いですね^^

*学生のヒラメキは、深く考えているからこそ生まれます!

そんな、ヒラメキ体験ができるのも、タマリハの特徴です♪

以上、発表に向けての演習風景でした。みんな限られた時間の中、熱心に意見交換し、発表準備をしていますね。

さて、発表会のようすです。

一生懸命に作ったスライド資料をモニターに映して説明します。

思いを込めて考えた訓練ですから、自然と熱が入ります!

発表を聞く学生も真剣そのものです!

発表後の質問タイム

発表者をうならせる鋭い質問も飛び交います!

さて、いよいよ本日の目玉!

現場で働く言語聴覚士の先生からの総括です。

「みなさん、訓練内容は良く考えられていると思います。臨床現場では、患者さんの反応に合わせて、臨機応変に訓練内容をアレンジする力が必要です。たとえば…」

実際の患者さんに行っていた訓練をそのときの患者さんとのやり取りを振り返りながら、具体的な検査結果の読み解き方や症状の現れ方について、学生にわかりやすく思いを込めて教えてくださいました。

貴重なお話を聞き逃すことなく、書きとる姿は真剣そのものです!

さて、例年の臨床実習では、病院で働く言語聴覚士のご指導のもと、患者さんと向き合い、実際に検査し、その結果を分析し、訓練するまでの一連の流れを経験して学びます。

本年は新型コロナウィルスの影響で臨床実習ができない状況です。今回は、臨床実習代用となる検査結果の解釈と訓練法の立案にターゲットを絞った学内演習のようすをご紹介しました。もちろん演習はこれだけではなく、検査や訓練の実技なども行います。

コロナ渦のなか、学校でできることは限られます。しかし、そんな状況でも学生が多くを学べるようタマリハでは、現場の先生方のご協力を仰ぎながら、工夫を凝らして授業を展開していきます。

学生たちに目を向ければ、こんな状況だからこそ、学びに対する熱意はますます強く、頼もしさを覚えます。

この状況を乗り越える力があれば、難関の国家試験合格も確実です! さぁ、コロナなんて寄せ付けず、精いっぱい力を尽くしていきましょう!!

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